2025年7月号(挨拶はすべての基本!)
挨拶はすべての基本!
~「行ってきます」の本来の意味~
園長 中村 洋志
地球の温暖化が危惧されるなか、本格的な暑さの季節を迎えましたが、子どもたちはこの暑さの中でもいつものようにエネルギッシュに過ごしています。このエネルギーは一体どこから生まれてくるのでしょうか。この時期は、身体面だけではなく使える言葉の数も急速に増えるなど、精神的な面でも大人の何倍ものスピードであっという間に成長していきます。人生の最終コースにさしかかって少々焦っている私にとしましては、誠に羨ましい存在です。
保育園では、もちろん暑さ対策もしながらですが、天気のいい日にはよく散歩に出掛けます。外遊びの大好きな子どもたちは、広い公園や広場で楽しく遊ぶことができることを楽しみにしています。出掛ける時は、玄関先で嬉しそうな表情とともに、いつも大きな声で「行ってきます」と明るい挨拶をしてくれます。その声からも楽しみにしている様子が伝わってきます。ある方から、「行ってきます」は、「行って参ります」の略語で、本来の意味は、「行ってきますが、無事に帰って参ります」、つまり「元気よく行ってきますが、無事に元気よく帰ってきます」という意味が内包されていると聞いたことがあり、なるほどと納得しました。事故のないように配慮しながら、毎回、万全の態勢では臨んでいるつもりではありますが、全員が無事に笑顔で帰ってきてくれると、いつもほっとした気持ちになります。
普段何気なく使っている言葉にも深い内容が含まれていると、改めて気付かされました。かなり以前のことになりますが、学校給食を食べる際に、「子どもたちに『いただきます』を強制させるな」との主張が散見されたことがあり、全国的に大きな話題になったことがありますが、今では「いただきますは、他の動植物の命を有り難くいただきます」という感謝の言葉であることは、ある程度共通認識がなされているのではと感じています。昔から言葉は、「『言霊』である」とも言われてきました。使い方によっては人を勇気づけ励ますこともありますが、逆に人を深く傷付ける場合すらあります。特に、多くの言葉を吸収し成長していく幼い子どもたちに向ける言葉には、私たち大人の方が子どもたち
の手本となるよう十分留意するよう心掛けたいものです。
私たち保育園にお世話になっている職員の一番の役割・願いは、「みんなが元気よく保育園に来てくれて、様々な経験を通して成長し、無事に家に帰ってくれること」です。私は、以前勤めていた学校の経営方針の中でも「喜んで登校、満足して下校」と「行きたい学校、帰りたい家庭、住みたい地域」をモットーにして、運営してきました。「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」「行ってきます」「ただいま」「おかえりなさい」「さようなら」「また明日」、鹿児島弁の「おやっとさあ」も含め挨拶は、すべての生活の基本だと考えています。