園だより

園長だより 10月号

言葉の力!~嘘のような本当の話~

暑さの続く毎日でしたが、10月に入り、朝夕の風に心なしか秋の気配を感じる季節になりました。子どもたちは、相変わらずそれぞれの個性を発揮しながら元気よく過ごしています。個人差はありますが、一般的に1歳半から3歳頃が自我の芽生える時期だと言われています。いわゆるイヤイヤ期でもありますが、これは成長の姿であり、好奇心の育ちの時期でもあるのです。単なる反抗ではなく、子どもなりに自分らしくありたいと成長している証でもあるのです。子どもを大きく伸ばすためには、こんな行為を否定的に捉えるのではなく、大人として落ち着いて対応し、子どもに自尊感情を育むことが大切だと言われます。

自尊感情とは、一般的に「自分自身を価値ある存在として感じる感覚のことであり、ありのままの自分を受け入れる感情である」と言われています。自己肯定感と同じ意味で使われることも多いようですが、自己肯定感が「自分の悪いところにOKを出すことである」のに対し、自尊感情は「自分が存在していることにOKを出すことである」と若干の違いを指摘する学者もいるようです。自尊感情を育むというと難しく考えがちですが、日常の生活の中でこそ育まれていくものだと思います。例えば、自尊感情を育てるためには,「パパは、いつも妹を可愛がってくれるから大好きだよ」とか、「ママは、よくお手伝いをしてくれるから嬉しいよ」など、感謝や励ましの言葉を口癖にすることが大切なことだと言われています。その中でも、「ありがとう」という言葉は,特に効果があると言われています。

これはかなり以前に聞いた嘘のような本当の話です。小学校5年生の「植村ちか」ちゃんという女の子が、夏休みの自由研究で、ある実験をしました。ニンジンを輪切りにして、一つのニンジンに「ありがとう」の声をかけ、一つのニンジンには「ばかやろう、腐れ」と声をかけ、もう一つのニンジンは完全に無視して何も声を掛けませんでした。これを毎日写真に撮って様子を見ていました。実験を始めて17日目に、驚くような結果が出ました。「ありがとう」と声をかけたニンジンはほとんど変わっていないのに、「ばかやろう、腐れ」と声をかけたニンジンは真っ黒に腐ってしまったというのです。ところが、さらにびっくりしたのは、一番最初に腐ったのが、「無視した」ニンジンだったということです。よく、「愛の究極の反対は無視である」と言われますが、それが裏付けられたような気がします。

もしも、「これからの成長が楽しみだね」とか「伸びていくのを見ているだけで嬉しい」とか励ますような声かけをしたら、このニンジンはどうなったのでしょうか。子どもらしい発想で行った実験であり、科学的に裏付けはされているわけではありませんので、一般化できるものではないかもしれませんが、何か大きな問いかけをしているような気がしてなりません。

仮に、これが毎日接している子どもへ向けての言葉だったら、どんな影響を与えるのだろうかと反省させられます。言葉は、大人が何気なく発したものでも子どもたちの心に届きます。そして大きな影響を与えます。保育園にお世話になり、子どもたちに毎日接している者として、今一度、「言葉のかけ方」についても考えてみたいと思います。

園長 中村洋志