園長だより 2024年1月号

心に灯をともす!
~その子の「よさ」に目を向ける~

園長 中村 洋志

新年明けましておめでとうございます。各ご家庭におかれましては、清々しい気持ちで新年をお迎えのことと拝察いたします。日本、世界ともに、政治・経済状況も含めて、なかなか先の見えない状況が続いております。今年こそは、平和で、子どもたちの明るい笑顔がはじけるような、前向きな話題の多い年になればと念じるばかりです。本年も、よろしくお願いい申し上げます。

私たち職員一同も、今年も一人一人の子どもたちと真正面から向き合い、真摯な取組を進めてまいりたいと考えております。イギリスの教育学者のウイリアム・アーサー・ワードは、「良き教師はかみ砕いて教える。優れた教師は考えさせる。偉大な教師は心に火をともす」という有名な言葉を残しています。この言葉は、保育士だけでなく、大人の対応の在り方等にも大きな示唆を与えてくれているように感じます。また、この言葉は、保育園や幼稚園等はもちろん、小・中・高・特別支援学校・大学等、すべての学校種等での保育・教育についても言えることですし、誰に対しても通用する言葉(理念)ではないかと考えています。また、勉学に関することだけでなく、スポーツ面や芸術的な面等においても言えることだとおもいます。自分の内側にある「心」=「やる気」に火がともると、人は、前向きな姿勢で取り組むことができ、成果を上げることができるからです。

「やる気」を引き出すためには、その子の「よさ」に気づき,タイムリーな評価(このことを「指導的評価」という学者もいます)をしていくことだと思います。以前にも書いたことがありますが、このことは、「甘やかし」ではありません。一人一人と真正面から向き合い、地道な取組を継続するからこそ、何となくではなく、タイムリーで、適切な評価(励まし)ができるのです。子どもたちは、大人の「言うこと」ではなく、「すること」を見ているからこそ、信頼している人からの言葉をしっかりと受け止めるのです。ローレンツは、「人間は、第一に自分自身の好きな人、第二に尊敬を抱いている人からのみ伝統を受け継ぐようにプログラミングされている。」と言っています。何といっても、「子どもたちとの信頼関係の構築」が一番肝要なことかもしれません。園の特色は、他園に比べて目立つことや奇抜なことをするから生まれるものではなく、普段の取組の中で子どもたちと真摯に向き合い、誠実に取り組んでいくからこそ、保護者等から信頼され、内側からごく自然に滲み出てくるものだと確信しています。

ただ、「やる気」は、何もせずにほっておいて、自然に生まれるものではありません。年齢的な側面が影響することも事実ですが、親や保育者等からの積極的な「働きかけ」によって、子どもたちの心に火がともり、「やる気」が生まれてくるのだと思います。場合によっては、「周りの環境」に大きく左右されることもあるかもしれません。保育園も、それを手助けする機能をもった大切な機関の一つです。保育園で過ごしたことが、子どもたちの「やる気」を生みだし、一人一人の成長を支援することになれば幸せです。「最大の教育環境は,大人(親や保育者)」ですから・・・。

私たち職員も、「子どもたちや保護者の方々との信頼関係」の中で、これまで以上の保育ができるよう努力し、子どもたちの「よさ」をのばせるような取組を計画的に進めてまいりたいと考えています。今年が、それぞれのご家庭、子どもたちにとって大きな飛躍の年になりますように、心からお祈り申し上げます。