園長だより 2月号

子どもの心に寄り添う! ~秘訣、それは目を見つめること~

園長 中村 洋志

 あっという間に2月を迎えました。寒さはしばらくは続きそうですが、だんだん過ごしやすい春に向かっていきます。子どもは、寒さを破って咲く可憐な梅の花のように素敵な笑顔を見せてくれます。そんな子どもたちから元気をもらいながら過ごしていると、何だか年をとるのも忘れてしまいそうです。改めて、子どもたちが私たち大人も元気づけてくれる存在だということに気付かされます。

かなり以前のことですが、アメリカのある大学で、学内で一番美しいと思う人を全学生の投票で選んだという記事を読んだことがあります。その結果、圧倒的多数で選ばれた女子学生は、外見的には、必ずしも、いわゆる美人ではなかったということです。服装も決して高価なものでなければ、最新のものでもなく、むしろ目立たないものだったといいます。では、なぜ彼女は多くの学生の支持を得たのでしょうか。その最大の理由は、彼女が、誰と話すときでも、必ずしっかり相手の目を見て聞き、話す習慣があったからだということでした。どんな時でも、相手の目を見ながら真剣に聞いてくれる彼女はみんなから好感を持たれていたのです。

後日、「なぜあなたは、しっかりと人の目を見つめて、人の話を聞くのですか。」という問いに対して、「私は、お金がないので、いつも同じような格好をしています。だから、自分の着ているものに相手の目が集中しないように、じっと相手の目を見つめているのです。」と答えたとのことです。それでも多くの学生は彼女に投票したのです。秘訣は、相手の目を見つめることだったのです。豆まき何となく分かるような気がします。何か参考になるエピソードではないかと受け止めています。人は、自分の話を真剣に聞いてくれる人を一番信用するからです。自分自身のこれまでを振り返っても、一人一人と真剣に向き合ってきたかなと今さらながら反省することしきりです。

保育園をめぐる昨今の報道には心を痛めています。目の前の子どもたちは、今日もキラキラした純粋な目で私たちを見つめてくれています。子どもの心に寄り添い、一人一人の子どもたちと向き合いながら取り組んでいかなければならないと、改めて考えています。お子さんがイヤイヤ期に入り、ご苦労されているご家庭もあるとは思いますが、イヤイヤ期こそ心身ともに劇的な成長を遂げている時期です。「イヤ」という単語は、自らの意思を明確に表明する一番便利な言葉だからです。まず私たち親や保育士等が、そんな子どもたちと真正面から向き合う存在でありたいものです。