園長だより 8月号
予測不可能な時代だからこそ!
~子どもたちの内側にはたくさんの優しさが~
園長 中村 洋志
連日うだるような暑さが続いていますが、子どもたちはそんな暑さにも負けずに、明るく元気に取組を進めています。子どもたちの笑顔やひと言が私たちの心を癒やしてくれます。先日、夕方6時過ぎに保育園から帰ろうとする私に、たどたどしいけれども、優しい声で「園長先生、お仕事頑張ってね」と声を掛けてくれたお子さんがいました。その時の爽やかな笑顔が今でも印象に残っています。
今、我が国だけでなく世の中は政治・経済状況も含め、予測不可能な時代に入っていると言われています。子どもたちは、望む望まないにかかわらず、そんな時代を生き抜いていく力を身に付けなければなりません。刻一刻変化し、誰も予測出来ない時代ですが、私たち大人には、次代を担う子どもたちが、少しでも希望を持って生きていけるような豊かな社会の基盤づくりをしていくことが求められています。目の前の子どもたちは、みんな個性豊かで、何の打算もなく、あるがままの姿を見せてくれる素敵な存在です。どの子も、その内側に「溢れんばかりの優しさ」を持っています。計算された笑顔や言葉でないからこそ、私たちの内面に心地よく響くのだと思います。また、「子どもたちは未来からの預かりものである」という言葉を聞くこともあります。子どもたちは、自分の力で自らの環境を選ぶことはできません。だからこそ、健全に育っていけるような家庭環境・社会環境づくりが求められているのだと思います。保育園も、その一翼を担っていると自負しています。私たち職員も、そのことを意識しながら一層の努力を継続していかなければならないと、改めて考えています。
とは言っても、目の前の子どもたちは、やんちゃで、いたずら好きで、時にはわがままです。だから、人間として生きていくための基本的なしつけが必要な場面も出てきます。人は、人との交わりの中で成長していくと言われています。保育園や幼稚園等という必ずしも自分の思い通りにはいかない集団生活の中で、社会性やコミュニケーション能力の基礎を学んでいくことになります。大人の価値観を押しつけるのではなく、保護者の方々協力しながら一人一人の子どもたちの健やかな成長を支援していければと考えています。
最近は、聞くことが少なくなりましたが、鹿児島県には、「我が子も、人の子もみんな地域の子」という教えが残されています。まさに、「子どもたちは社会の宝」です。本県の教育的な伝統、よき風土として、今でも脈々と受け継がれていると信じていますが、ややもすれば人と人とのつながりが薄れがちな時代だからこそ、このような教育的な風土は、これからも残していきたいものだと思っています。このような教えは、決して古い教えではありません。子育ての基本として、時代を超えてずっと生き続けていくべき「よき教育伝承」ではないかと考えています。政治・経済を含め、混沌とした今の時代だからこそ、大切にしたいものが内包されているのではないかと思っています。子どもたちの笑顔に接しながら、子どもたちの内側にある溢れんばかりの優しさが世の中を包み込んでくれるような時代が到来することを願い続けています。