園長だより 2024年6月号

アタッチメントの形成!
~自己肯定感が子どもを育てる~

園長 中村洋志

6月の爽やかな風が周りを包み込んでいます。その中で子どもたちは、懸命に「今」という時間を生きています。どの子も、輝く「いのち」を持ち、イキイキとした姿で毎日を精一杯生きています。子どもたちの笑顔は、常に私たち職員の気持ちを和ませてくれます。予測不能なこれからの時代を生きていく子どもたちの健やかな成長を願うばかりです。
アメリカのドロシー・ロー・ノルトさんは、「子は親の鏡~子どもが育つ魔法の言葉~」の中で、次のような言葉を残しています。何か子育ての参考になるのではないでしょうか。
だっこ
子どもは、批判されて育つと、人を責めることを学ぶ。
子どもは、憎しみの中で育つと、人と争うことを学ぶ。
子どもは、恐怖の中で育つと、オドオドした小心者になる。
子どもは、憐れみを受けて育つと、自分を可哀想だと思うようになる。
子どもは、馬鹿にされて育つと、自分を表現できなくなる。
子どもは、嫉妬の中で育つと、人をねたむようになる。
子どもは、ひけめを感じながら育つと、罪悪感を持つようになる。
子どもは、辛抱強さを見て育つと、耐えることを学ぶ。
子どもは、正直さと公平さを見て育つと、真実と正義を学ぶ。
子どもは、励まされて育つと、自信を持つようになる。
子どもは、褒められて育つと、人に感謝するようになる。
子どもは、存在を認められ育つと、自分が好きになる。
子どもは、努力を認められて育つと、目標を持つようになる。
子どもは、皆で分け合うのを見て育つと、人に分け与えるようになる。
子どもは、静かな落ち着きの中で育つと、平和な心を持つようななる。
子どもは、安心感を与えられて育つと、自分や人を信じるようになる。
子どもは、親しみに満ちた雰囲気の中で育つと、生きることは楽しいことだと知る。
子どもは、周りから受け入れられて育つと、世界中が愛であふれていることを知る。
あなたの子どもはどんな環境で育っていますか?

私は、このドロシーの言葉から「アタッチメント」という言葉を思い出しました。先月号にも書きましたが、「非認知能力」の形成とも深い関係があると考えています。特に、乳幼児期の子どものアタッチメント形成は、「学びに向かう力」を育成する土台になるとも言われています。子どもが不安や恐れを感じたときに保護者がその気持ちに気づいて抱きしめたり、タイムリーな声掛けをしてなぐさめたりする日常的な関わりを通して、アタッチメントは形成されます。例えば、子どもを抱きしめたりくすぐったりといったスキンシップや、「かわいいね」「大好きだよ」など言葉による声掛けもこれに当たります。また、怖がっている時に安心させたりうまくできた時に一緒に喜んだりすることもポジティブな感情を育みます。アタッチメントの形成というと難しそうですが、「やりとり遊び」で親子でコミュニケーションをしながら一緒に遊んだり、絵本の読み聞かせをしたり、子どもと好きな童謡を一緒に歌ったりするなど、何気ない日常的な関わりを通す中で形成されていくのです。このことが「自己肯定感」を育み、自立心を培っていくのだと考えています。

当然のことながら、アタッチメントは、母親とだけでなく、父親や祖父母、保育士等との間でも形成されます。様々な大人が子どもと接することで、子どもの健やかな成長を支えていくことになります。子育ては魔法のようにはできませんが、私たち職員も成長を支える一員になれるように、子どもたちと真正面から向き合っていきたいと考えています。