園長だより 4月号

よき大人、よきモデルに!
~子どもたちは、大人の背中を見て育つ~

いよいよ令和3年度ががスタートしました。木々の緑も一段と濃くなり、暖かい風が身を包み、春の息吹が感じられる心地よい季節になりました。この季節は、私たちに新たなエネルギーを与えてくれます。新入園・進級おめでとうございます。本年度も、この新たな出会いを大切にしながら、子どもたちにとって、居心地のよい保育園づくりをめざして、全職員一丸となって取り組んでまいります。本年度も保護者の方々の一層のご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。

子どもたちは、いつの時代も親や保育士など周りの大人の背中を見ながら成長してきました。大人の姿はその時々の時代の空気や価値観を反映しているからです。ドイツのグリム童話78番「年とったおじいさんと孫」の中に、考えさせられる話があります。それは、「年とったおじいさんが、よく陶器の食器を落として割ってしまう。困った両親は、相談して、ゴツゴツした木の食器を渡して、これで割れることはないとホッとする。それを見ていた五歳の坊やが木屑を刻み出す。『お父さんにあげようと思って』、これを聞いてハッとした両親は、ゴツゴツした木の食器をやめにする。」という、たったこれだけの話です。この話から、何を学ぶことができるでしょうか。古今東西を問わず、根底にある教えは変わらないように思います。

子どもたちは、見ていないようで、大人(親や保育者)のすることをよく見ています。子どもたちは、「大人の言う通りではなく、する通りにする存在」だからです。子どもたちの評価は、純粋である分だけ、核心をつく場合があります。かしこまった堅苦しい生活と言うことではなく、普段の何気ない生活の中でこそ、子どもたちと向き合い、大人としての「姿勢」を見せる必要があるのではないでしょうか。子どもたちは、普段の生活の中で私たち大人の背中を見て育っていくからです。

「よき大人、よきモデル」になることは、難しいことですが、「よき大人、よきモデル」になろうと努力することは、「今日」からでもできます。子どもたちは、「よき大人」を尊敬するのは当然のことですが、「よき大人」になろうと努力する人を同じように尊敬するのだと思います。「よき大人」といっても、何か「理想的なモデル」があるわけでもありません。子どもたちの目には、一人の人間として、懸命に生きていくその姿こそが、「よきモデル」として映るのではないでしょうか。

どんなに時代が変わっても、人としての大切なものは、変わることはないと考えています。今、目の前にいる子どもたちも、やがて次代を創り上げていく大切な一人一人です。この子どもたちが生きていく時代が、今よりも豊かな時代になるようにバトンタッチしていくのが私たち大人の役割だと思います。私たち職員も、保護者の方々と連携し、子どもたちの「よきモデル」になれることをめざしながら、地道に取組を進めていきたいと考えています。本年度もよろしくお願いいたします。

園長 中村洋志